Zendesk 2024年9月のアップデート情報をまとめてみました
こんにちは、業務効率化ソリューション部の入井です。
今回はZendeskの2024年9月のアップデート情報について、Suiteの機能に関係するものを1つずつ見ていきます。
オブジェクトとルール
チケットルーティング時のスキル要件の調整
オムニチャネルルーティングがオンになっている場合、チケットのトリガを使ってスキルをチケットに割り当てる際に、そのスキルを「必須」か「オプション」に設定できます。「オプション」に設定されたスキルは、ルーティング設定のスキルのタイムアウトの影響を受けます。詳しくは「チケットのスキルの追加と管理」をご覧ください。
オムニチャネルルーティング機能を使い、何らかのスキルを持つエージェントへ自動的にチケットを割り当てたいとき、そのスキルを必ず持っている必要があるのか、有れば良いのかの違いを考慮して設定が可能となりました。
例えば、日本語のスキルを必須にした場合、スキルとして日本語がセットされたエージェントが必ず選ばれますが、オプションにした場合は、ルーティング時に一定時間経過後日本語スキルを持たないエージェントにもチケットが割り当てられるようになります。
アカウントおよび請求
Zendeskが稼働するデータセンター等の情報表示
アカウントのポッド番号とデータセンターの場所は、アカウントのステータス情報へのリンクとともに、管理センターのホームページの下部に表示されます。サブドメインはこのページの上部に表示されます。詳しくは「ポッドの概要」をご覧ください。
自社で使用しているZendeskがどの場所で稼働しているかの情報が管理センターホームの最下部で確認できるようになりました。
例えば弊社検証環境では、直近はAsia Pacific (Sydney)データセンターのポッド15で動作していることが確認できました。
また、ポッド情報のリンクからはサービス稼働状況が確認できるページへのリンクが貼られています。
なお、稼働するデータセンターやポッドを指定するには、専用のアドオンを使用する必要があります。
上位のプランやアドオンのトライアル
対象となるSupportのお客様は、購入前にコラボレーションアドオンを30日間無料でお試しいただけます。このアドオンでは、ライトエージェントとサイドカンバセーションの機能が提供されます。アドオンの利用条件として、Support Professional以上のプランが必要です。詳しくは「プランや機能のアップグレードの試用」をご覧ください。
上位のプランやアドオンを30日間無料で試すことができるようになりました。
例えば、サイドカンバセーションはsuite Professinal以上で使用できる機能ですが、トライアルを活用することでGrowthプランでも一時的に使用できるようになります。
Premiumサンドボックスにおけるサポートアドレスの複製
Premiumサンドボックスでサポートアドレスが複製されるようになりました。この機能強化により、Premiumサンドボックスを機能テスト環境として構築して運用するプロセスが効率化されます。詳しくは「データの複製によるPremiumサンドボックスの作成」をご覧ください。
従来、サンドボックス作成時にサポートアドレス(問い合わせの窓口となるメールアドレス)の複製は行われませんでしたが、今回から複製されるようになりました。
なお、Zendesk発行の内部サポートアドレス(help@{yoursubdomain}.zendesk.comの形式)はそのまま複製されますが、自社ドメイン等の外部ドメインを使った外部サポートアドレスは内部サポートアドレスとして再発行される形になります。
サンドボックスへのアドオン等の同期
Enterpriseプランで既存のサンドボックスにサブスクリプションデータを同期できるようになりました。製品、アドオン、解約などのサブスクリプションデータを既存のサンドボックスに同期することで、そのサンドボックスがテストに適した状態を保ち、サンドボックスを置き換える頻度を減らすことができます。詳しくは「サンドボックスへの製品とアドオンの同期」をご覧ください。
サンドボックス環境にも、アドオンやエージェントライセンスの使用状況などができるようになりました。
これにより、更に本番に近い環境で検証を行うことが可能となります。
メンバー
解約エージェントのチケット割り当て設定追加
離職するエージェントの解決済みチケットの再割り当てについて、さまざまな動作を設定できるようになりました。再割り当ての動作は、アカウントレベルとグループレベルの両方で設定できます。詳しくは「グループの解決済みチケットに再割り当てオプションを設定する方法」をご覧ください。
何らかの理由で使用していたエージェントを削除したり、ライトエージェントに降格する際に、もしそのエージェントに割り当てられたチケットが存在する場合、チケットの担当者を別のエージェントに切り替える必要があります(終了済チケットは除く)
今回、削除や降格操作を行った際に、担当者として割り当てられていたチケットをどのように更新するかを調整できるようになりました。
割り当て方は以下の中から選択できます。
- 管理者または最も長期間アクティブなチームメンバーに再割り当てする(デフォルト)
- 解決済みチケットをチームメンバーを割り当てず、グループに再割り当てする
- ランダムなチームメンバーに再割り当てする
その他、グループ単位で割り当て方を個別に設定することも可能です。
エージェントワークスペース
チケット内の会話のスクロール機能
Zendeskエージェントワークスペースのチケット会話に新しいスクロールオプションが追加されました。エージェントは、ワンクリックで会話内の最新または一番古いメッセージを確認できます。詳しくは「会話をスクロールする」をご覧ください。
チケット内で長い会話を続けているとき、一番古いメッセージや最新のメッセージにスクロールを合わせるためのボタンが表示されるようになりました。
Support
インテリジェントトリアージの対応チャネル追加(Advanced AIアドオン)
インテリジェントトリアージのチャネルサポートが拡張され、ネイティブのメッセージングとソーシャルメッセージングのサポートが追加されました。メールチャネルでは、Facebook PostとX Corpが新たに追加されました。メッセージングチャネルでは、ネイティブのメッセージング、Apple Business Chat、Google Business Messages、カカオトーク、MessageBird SMS、Sunshine Conversations APIが新たに追加されました。詳しくは「カスタマーの目的、言語、センチメントを自動的に検出」をご覧ください。
顧客の問い合わせ内容から目的・言語・感情を分析できるインテリジェントトリアージについて、以下のチャネルで動作させられるようになりました。
- メールチャネル
- Facebook Post
- X Corp
- メッセージングチャネル
- ネイティブ
- Apple Business Chat
- Google Business Messages
- カカオトーク
- MessageBird SMS
- Sunshine Conversations API
カスタムオブジェクトカードの設定
Professional以上のプランのお客様は、カスタムオブジェクトカードを設定できるようになりました。カスタムオブジェクトカードは、エージェントワークスペースの「レコードプレビュー」パネルに表示されます。ユーザー基本情報カードと同様に、カスタムオブジェクトカードでも、フィールドの追加、削除、並べ替えなどの設定が可能です。詳しくは「エージェントワークスペースでカードの表示に追加情報を設定する方法」をご覧ください。
チケット詳細画面には、以下のようにリクエスタの詳細情報を確認できるカードが標準で用意されています。
こちらと同じようなUIで、他の情報についても表示できるようになりました。例えば、チケットに関連する商品の詳細情報や、ユーザーの契約の詳細情報といった形で、任意の情報をエージェントがすぐにチケット内で確認できるように表示可能となっています。
メッセージング
メッセージングトリガによるチケットタグの追加
メッセージングトリガ用のチケットタグを利用して、メッセージングの会話にチケットタグを追加することができます。これにより、管理者は自動化を設定して利用することで、メッセージングチケットの運用効率とレポートを改善できます。詳しくは「管理センターでのメッセージングトリガの操作」をご覧ください。
チャット等の会話時の処理を自動化できるメッセージングトリガで、アクションとしてチケットタグの追加を設定できるようになりました。
これにより、チャットの状況に応じて自動的にタグ付けが可能となり、チケットの整理などを効率化することが可能です。
Explore
フィルタリング済ビュー機能の追加
ベータ版ダッシュボードビルダーのフィルタリング済みビューを使用すると、1つのダッシュボードタブ内でさまざまなフィルター設定を簡単に切り替えることができます。フィルタリング済みビューは、ダッシュボードでフィルターを手動で設定しなくても、ダッシュボードタブ内で保存した表示状態に簡単に戻せるブックマークとして機能します。詳しくは「フィルタリング済みビューでダッシュボードの状態をブックマークする方法」をご覧ください。
ベータ版限定ですが、ダッシュボードのフィルタリング設定を保存することが可能となりました。
例えばチケット作成件数について、チャネルがメールで特定のブランドのチケットという条件でよく確認する場合、いちいち手でフィルタ設定を入れたりわざわざ専用のレポートを作成しなくても、このフィルタリング済ビューで保存しておくだけで済むようになりました。
AIエージェントとボット
自動解決数の料金モデル適用開始
AIエージェントの自動解決の価格モデルが運用開始されました。自動解決の価格と超過料金の計算は、アカウントの更新日や過去の使用状況など、いくつかの要因に基づいてAIエージェントの機能を使用しているアカウントに適用されます。詳しくは「AIエージェントの自動解決について」をご覧ください。
管理者は、自動解決の効果に関するフィードバックを会話ログに残すことができます。Zendeskはこのフィードバックを使用して、すべてのお客様のAIエージェントのパフォーマンスを向上させます。 詳しくは「Zendeskへの自動解決に関するフィードバックの送信」を参照してください。
チャットボット機能を提供するAIエージェントについて、ライセンス費用とは別に自動解決数という指標に基づいて別途費用が発生すると以前アナウンスがありましたが、正式に運用が開始しました。
また、ボットとエンドユーザーのやりとりが過去ログとして残されるようになりました。これにより、ボットがエンドユーザーに適切な回答をしているか確認したり、過去のどのようなやりとりが自動解決数として計上されたのか確認できるようになりました。
セキュリティ
削除スケジュール条件の追加
「高度なデータ保護とプライバシー」アドオンをお持ちでないお客様は、削除スケジュールに条件を追加できます。たとえば、特定のブランド、グループ、チケットタグを含む、または含まないチケットを削除できます。詳しくは「削除スケジュールを使用したデータ保持ポリシーの作成」をご覧ください。
アーカイブ化されたチケットについて、特定の条件に基づいて一定期間後に自動削除できる削除スケジュール機能が使えるようになりました。
「高度なデータ保護とプライバシー」アドオンを持っていない場合、1つの条件のみ設定可能となります。
まとめ
今回も様々な機能が追加されました。
特に、解約エージェントのチケット割り当て設定や、削除スケジュール条件等が便利そうに思います。
参考記事